フォスター電機のサステナビリティ
担当取締役メッセージ
1949年の創業以来、社是として「誠実」を、ビジョンとして「未来社会に音で貢献する」を、ミッションとして「音に関わる製品やソリューションを通して、世界中により快適な生活やコミュニケーションの喜びを提供し社会から期待される企業になる」を掲げ、一貫して社会から必要とされ、発展し続けるサステナブルな企業を目指してきました。
2021年3月には、中期事業計画の策定と併せて「ESG経営宣言」を制定し、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)を軸とした経営に取り組むフォスターの姿勢を社内外に発信しました。また、2022年4月には、自社そして社会のサステナビリティ(中長期的な持続可能性)の追求に向け、推進体制を「ESG推進部」から「サステナビリティ推進部」へと改組し、体制を強化するとともにその機能を拡充しました。さらに当社は国連グローバル・コンパクトに賛同しており、サステナビリティ活動の推進及びその管理については、GC10原則やISO14001、ISO45001規格等を参考に実施しています。
とりわけ、脱炭素社会の実現に向けては、これを経営の最重要課題の一つとして位置づけ、取り組んでいます。具体的には「2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す」という長期目標を新たに掲げ、中期目標も従来の「2030年までにScope1&2の総排出量を2018年対比で30%削減」から「50%削減」へと見直し、取り組みを一層加速することとしました。持続可能な社会の実現に向け、フォスターグループの技術力を結集することで、ESG経営の推進を、これまでの「企業が果たすべき社会的責任」から「差別化を図る競争優位の源泉」へと高めてまいります。
また、持続可能な社会の実現に向け、「環境」に加えて「人権」に対する社会的関心・要請が高まりつつありますが、フォスターグループは、4分野10原則で人権の保護を支持、尊重している国連グローバルコンパクトに2017年から参加しています。日本はもとより、アジア・米州・欧州でグローバルに事業を展開するフォスターグループとしては、自社のみならずサプライチェーンをも含めた人権尊重の取り組みをより一層進め、年齢・性別・国籍・信条等の異なる多様な人々が、お互いを敬い、ありのままを受け入れることのできる職場そして社会の実現を目指してまいります。
今後は、フォスターグループの「強みの源泉」である①知的資本、②人的資本、③製造資本、④社会・関係資本、⑤自然資本といった非財務資本と、⑥財務資本を生かし、ESG経営に基づいて社是に掲げる「誠実」な企業活動を推進していきます。これによって、ステークホルダーの皆様の期待や要請に的確に応えながら、企業価値をさらに高め、自社のみならず社会のサステナビリティ(中長期的な持続可能性)に、より一層貢献してまいります。
ESG経営宣言について
2021年3月にフォスターグループESG経営宣言を制定しました。すべての企業活動の原点である「社員」の「Be Happy 80%」を活動の基点としてウェルビーイングを向上させ、自社そして社会双方のサステナビリティ実現へ向けて、中長期的にESG経営に取り組む当社のコミットメントおよび当社の「ありたい姿」を具体的に表現したものです。
フォスターグループ ESG経営宣言
ESGへの取り組みは、社是「誠実」から発しています。社是「誠実」を「Foster Rhythm*」では「常に真実を伝え、人と地球にやさしく、真心をこめてサービスすること」としています。
フォスターにおけるESG活動の中心は「社員」だと考えています。全ての企業活動の原点である社員をハッピーにできない企業にESGを推進することはできません。その上で「社員のBe Happy 80%」をESG活動の基点とし、関わりあうすべてのステークホルダーの期待に応えるべく未来社会に貢献していきたいと考えています。100%ではなく、80%をハッピーの基準とします。自社、自分だけの満足ではなく、他のステークホルダーの満足への思いやりの余地を残しているためです。
*Foster Rhythm : 社是「誠実」を含む企業理念を全世界の社員に理解できるよう、社員自らが考え、平易な言葉で置き換えたもの
フォスターはESGに強くコミットし、長期的視点で以下の実現を目指します。
- 1. 「脱炭素社会」、「資源循環」、「自然との共生」の推進に向けた取り組み、『ゼロエミッション』へのたゆまぬ努力
- 2. ライフステージや人生目標に合わせたワクワクのびのびとした働き方
- 3. 年齢、性別、国籍、信条等の異なる多様な人々が、お互いを敬いありのままを受け入れることのできる社会
- 4. お客様、お取引先に信頼される、真のスペシャリスト
- 5. 製品品質や業務品質など、あらゆる場面での『ゼロディフェクト』の定着
- 6. 音と振動の技術を通じたソリューション提供による、人々の生活の質の向上
- 7. コーポレートガバナンス強化に資する厳格なリスクマネジメントの遂行とコンプライアンス体制の拡充
- → 音と振動の力で人々の生活を豊かにし、すべてのステークホルダーに幸せと持続的な未来を届けること、それがフォスターの願いです。
フォスターグループのサステナビリティ推進
2006年にCSR憲章*1の初版を発行し、2010年にアメリカの電子工業会が定めたCSR基準であるEICC*2を基本方針として採用することで、グローバルな汎用性・普遍性を追求し、内容を刷新しました。これに当社独自に制定した事項を追加し、ESG経営の強化に努めています。さらに、国連グローバル・コンパクト、ISO14001、ISO45001等を参考に、サステナビリティ推進を実施しています。
*1 2022年3月サステナビリティ憲章に改定
*2 Electronic Industry Citizenship Coalition(2017年にResponsible Business Allianceに改名)
サステナビリティ推進体制
代表取締役社長を委員長とし、関連部門の代表をコアメンバーとするサステナビリティ委員会を、本社に設置しています。サステナビリティ委員会は、実行委員長であるサステナビリティ担当役員出席の下、本社および各拠点のサステナビリティ責任者、実務担当者により月次で開催され、グループ全体におけるサステナビリティ推進活動のモニタリングと連携活動を担っています。また、サステナビリティ委員会が諮問した重要事項は、社内外の取締役が参加する取締役会で審議・承認されます。
フォスターグループサステナビリティ憲章
従来取り組んできた企業の社会的責任(CSR)だけでなく、自社そして社会双方のサステナビリティを追求することを明確にするために、2022年3月にCSR憲章を改定し、「サステナビリティ憲章」を制定しました。すべての役員・社員が、企業のサステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を重要な課題としてとらえていることを周知し、日々の活動の中でサステナビリティを意識し、果たすことを目的としています。
本憲章および憲章細則では、グローバルに事業を展開するフォスターグループにふさわしいサステナビリティ活動およびESG経営について定め、社是に基づき「誠実な企業活動」を行うことを宣言しています。
マテリアリティ(重要課題)
2021年3月に改定マテリアリティを発行しました。マテリアリティの特定にあたり、当社のESG経営宣言、また中期事業計画における中長期的視点で目指す姿からバックキャスティングし、現時点で優先的に取り組むべき課題を顧客、調査機関を始めとするステークホルダーの皆様からの期待を反映し、リストアップしました。そして、ESG各分野の担当・責任者から構成されるESG推進タスクフォースで議論をし、サステナビリティ委員会、取締役会での承認を経て決定いたしました。今後も事業の方向性に伴い、当社のステークホルダーへのインパクトや重要度を継続的に評価・分析し、必要に応じて見直しを行います。
マテリアリティの取り組みについて
ESGの側面から設定した各マテリアリティを主担当部署ごとに、毎年の目標・KPIを設定して推進し、達成に向けて取り組んでいます。進捗結果については、役員をはじめ関連部門の代表が出席するサステナビリティ委員会で審議し、見直しや改善の対策を講じています。
また近年、世界的な人権への関心の高まりに伴い、人権が重要視されるようになっています。このような背景を踏まえ、人権に関連するマテリアリティの取り組みの一環として、社員の人権遵守と啓発、サプライチェーンにおける人権アセスメントや責任ある鉱物調査、そして労働関係法順守等のガバナンスによる人権侵害の防止に取り組んでいます。これらの取り組みを通じて、企業活動における人権の重要性を認識し、推進しています。
マテリアリティ項目 | 目標(KPI) | 2022年までの 取組状況 |
対応するSDGs | ||
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環境(E) | 脱炭素社会 | ・Scope1&2の総排出量 | ・2025年目標:2018年度比30%削減 ・2030年目標:2018年度比50%削減 |
2018年度比で42%削減 | |
・Scope3の総排出量 | ・2025年目標:2018年度比3%削減 ・2030年目標:2018年度比15%削減 |
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資源循環 | 軽量化 ⇒車載用スピーカ従来品に対し、さらなる軽量化へ向けた要素技術開発 |
2025年目標 ・100g未満のスピーカに向けた要素技術を盛り込んだ開発品の製作 2022年目標 ・115g未満に向けた軽量化 ・軽量化技術を盛り込んだ自主開発品の製作 |
115g未満に向けた軽量化技術としてフレーム,振動板材料CFRTP*1を盛り込んだ自主開発品の製作完了 | ||
環境対応スピーカ*2の採用率の向上 | 環境対応スピーカ*2の採用率の向上 ⇒車載用環境対応スピーカの採用率(売上高比):2025年に22% ・2022年度:16% ・2023年度:18% ・2024年度:20% ・2025年度:22% |
2022年度:16% | |||
自然との共生 | VOC削減*3 | 新規モバイルオーディオ製品のうち「トルエン不使用製品」の比率:2024年までに100% ・2022年度:60% ・2023年度:80% ・2024年度:100% |
2022年度:77.7% | ||
社会(S) | 品質(製品の安全性と信頼性) | 社会的影響度の大きい事故(人命・財産・環境、等に重篤な影響を与える不具合)件数 | 0件の継続 | 0件 | |
サプライチェーンマネジメント | CSR自主アセスメントを配布したサプライヤーからの回収率 | ・重要サプライヤー*4CSR自主アセスメントの実施率100% | 100% | ||
・重要サプライヤーCSR適合率*590%以上 | 91% | ||||
責任ある鉱物調達調査におけるサプライヤーからの回答回収率 | ・既存サプライヤー:99%以上 | 99% | |||
・新規登録のサプライヤー:100% | 100% | ||||
ワクワク働ける職場づくり | ・エンゲージメント調査偏差値(本社) | 52.0以上 | 51.8 | ||
・従業員一人当たりの総労働時間(本社) | 月平均153時間以下 | 155.8時間 | |||
・特定保健指導受診率(本社) | 80% | 83.0% ※健診事後措置面談を含めた受診率84.6% |
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・定期健康診断受診率(本社) | 100%維持 | 100%維持 | |||
・介護離職者(本社) | 0%維持 | 0%維持 | |||
ダイバーシティ&インクルージョン | ・女性管理職比率(本社) | 2025年度30% | 12.6%(2023年3月31日現在)、14.2%(2023年4月1日現在) | ||
・海外人財比率(本社) | 2025年度30% | 11.0%(2023年3月末現在)(役員含む) | |||
・障がい者雇用率(本社) | 法定雇用率2.3%を上回る | 2.1%(2022年度平均) | |||
・男性の配偶者出産休暇および育児休業の取得率(本社) | 100% | 男性の配偶者出産休暇取得率85.7% 男性育児休業取得率62.5% |
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・多様な人々が能力を発揮できる組織づくりを促す教育実施(本社) | 女性や外国人の活躍を阻害するアンコンシャスバイアスの排除や、SOGI・LGBTQ+に関する理解を深めるための教育を実施する |
①メンタルタフネス度を高める基礎スキル講座(受講率91%) ②ハラスメントのない職場づくり講座(受講率96%) ③女性取締役による「若手・中堅女性社員のためのキャリア研修」実施 |
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ガバナンス(G) | ガバナンス強化 | コーポレートガバナンスの充実 | ・コーポレートガバナンス・コード100%遵守 | 100% | |
・ガバナンスサイクルの推進(ガバナンスアセスメントに基づく体制・運用の改善) | |||||
コンプライアンスの徹底 | ・コンプライアンス・テストおよびコンプライアンスアンケートの回答率100%の維持 | 100% | |||
・内部通報制度の周知率100% | 100% | ||||
・コンプライアンス研修の実施と満足度5段階中4以上の確保 | 平均で4以上を確保 | ||||
リスク・危機管理の強化 | ・リスクアセスメントに基づくリスク・危機管理の体制・運用の改善 | 100% | |||
・重要項目*6のモニタリングを実施し、各項目の対応策年度内完了率:100% | 100% |
- *1 CFRTP(Carbon Fiber Reinforced Thermo Plastics):炭素繊維強化プラスチック
- *2 環境対応スピーカ:軽量化、VOC削減、はんだ低減、ドライプロセス採用等の環境配慮要素をひとつでも含んでいるスピーカ
- *3 VOC(Volatile Organic Compounds):揮発性有機化合物
- *4 重要サプライヤー:当社の調達金額80%に該当する上位サプライヤー約50社
- *5 CSR適合率:CSR自主アセスメント評価点66%以上を達成しているサプライヤーを適合とする(65%以下は不適合)
- *6 1.BCP体制の検証とグローバル展開 2.グループ全体の防火体制の管理 3.情報セキュリティ管理体制の対応策の強化 4.サプライヤーの事業継続性の管理 5.ロジスティクス混乱への対応 6.その他期中に生じる事象から予見するリスク
人権尊重への取り組み
社是「誠実」の下、人権の尊重を社会の重要課題と位置づけ、バリューチェーン全体のプロセスを通して人権の尊重が実践されるよう取り組んでいます。2017年1月には「国連グローバルコンパクト」に加盟し、人権尊重や労働に関する人権擁護を含む10原則へのコミットメントを表明し、活動を推進しています。
人権に関するガバナンス
2003年に「フォスターグループ企業行動要綱」および「フォスターグループ社員行動規範」を制定しました。これにより、強制労働、児童労働、差別、ハラスメント、個人情報保護、安全衛生、責任ある鉱物調達等の側面において、すべての法律・法令、国際ルールおよびその精神・趣旨に則り、人権を尊重することを規定しています。また、「フォスターグループサプライヤーサステナビリティ行動規範」を制定し、お取引先様にもご協力いただき、サプライチェーン全体を通して人権の尊重を遵守しています。
社員の人権尊重および啓発・浸透
社員のウェルビーイングを大切にし、社員の人権尊重・差別禁止、ハラスメント防止、個人情報・プライバシーの保護、職場の安全衛生、労働関係法の順守等の観点から、一人ひとりの人権が尊重されるよう取り組んでいます。さらに社員への啓発・浸透を目的とする全社員向けのハラスメント研修や、ダイバーシティ推進活動の一環としてLGBTQ+に対する理解を深めるeラーニングを実施しています。内部通報制度に関しては、社員に対してコンプライアンス・アンケートを利用した周知活動を行っており、社内周知率は100%を維持しています。
サプライチェーンにおける人権尊重
お取引先様には「フォスターグループサプライヤーサステナビリティ行動規範」への同意書に署名いただき、人権侵害に関する項目を設けた取り組み状況の調査(CSR自主アセスメント)を実施し、必要に応じて是正依頼をしています。さらに鉱物調達においては、深刻な人権侵害を行う武装勢力の資金源になっていないことを確認するためのデューディリジェンス(責任ある鉱物調達調査)を行い、認定された精錬所のみから調達活動をしています。
相談・通報窓口
内部通報制度として、コンプライアンスホットラインおよびハラスメントヘルプラインの相談・通報窓口を設置し、さまざまなステークホルダー(当社グループの社員・役員、その家族および取引先の社員を含む)からの相談を受け付けています。厳正な調査に基づき人権への侵害が特定された場合は、通報者への報復・不利益がないことを確保した上で、救済・処分を行っています。