VOICES 01

スピーカ技術を応用した 豊かな振動表現で、 いままでにない没入感を実現

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BACKGROUND

高い技術力と強い信念で「顧客の実現したいこと」を支えるフォスター電機が生み出したのは、
ボイスコイルアクチュエーターと呼ばれる新たな振動発生装置です。
ゲームコントローラーなどに搭載されるこの装置の開発は、試行錯誤の連続でした。
それでも約5年という開発期間を費やし、ついに量産化に成功。
今回は、そんなプロジェクトチームの情熱や原動力に迫ります。

YUSUKE CHIBA

千葉 雄介

第6技術部 設計2課 課長

担当業務:振動デバイス設計開発を担当。機器の機構設計を中心に新機種の試作・評価などの開発を手がける。
※インタビュー社員の所属、役職は撮影当時のものです

裏方として
「より高精細で幅広い振動体験」の
実現を支える

私たちが開発したのは「ボイスコイルアクチュエーター」と呼ばれる、新しい振動発生装置です。従来のモーターなどの駆動方式とはちょっと違っていて、ただブルブルと震えるだけではなく、より高精細で幅広い振動を体験できます。
しかし、この装置の開発初期は、ほかの社員も大口の規格で量産化されるとは想像していなかったと思います。実際に当時は「変なものを作っている」とイロモノのように見られることもありました。
それでも、メーカさんの「実現したいこと」を我々のデバイスの力で、裏方として支えようと開発に取り組みました。
また、社内で今回のプロジェクトは「将来のビジネスの種(新規事業開拓)」と位置付けられており、そうした観点からの挑戦でもあります。

無響室に入り浸り、
いくつもの試作を重ねて
課題を解決

量産化に向けては、最後の最後まで数多くの課題がありました。短期間でいくつもの試作検討をこなす必要がありましたし、設計した部品がうまく動作しなくて心苦しい場面もありました。そうした課題に対しては一日中無響室に入り浸り、1カ月以上に渡って測定を繰り返して調整することで、なんとか生産を開始することができました。
そのほかにも「どんな部品が入ってきても、どんな設備でも安定して作ること」を設計上意識して、重要管理が必要な部分とそうでない部分などを整理し、全体のメリハリを意識して開発に取り組みました。

過去の悔しさを原動力に、
経験と技術力を生かして限界に挑む

自分の以前のプロジェクトがうまくいかず、社内から開発中断を意味する「ドロッパー」や「クローザー」と、冗談で呼ばれることもあり、悔しい思いをしました。
ですので、今回のプロジェクトでは自分の経験と技術力を生かして「限界に挑みたい」と感じていましたし、目の前チャンスをつかむことに必死だったので、挑戦への恐怖はありませんでした。
それに、なにより自分の担当機種で、売り上げが会社の中で立つのを見てみたかった、という思いもありました。
そんな中で、開発過程最大の障壁は「この振動デバイスを評価する国際的な規格が存在しない」ということでした。振動を数値的なパラメータとして捉え、定量評価と性能の関連性をイメージできるまで非常に難しく、時間がかかりました。最終的には工場のあるベトナムに長期間滞在して試行錯誤を繰り返し、ようやく量産化を実現しました。

「大成功」
これからも技術の発展目指して
挑戦続ける

開発が完了してからの製品の評価では、お客様からの厳しい意見も多かったのですが、結果的には「市場の評価は大変高く、当初の目的も達成することができ、大成功だった」という連絡をいただきました。
やっぱりそうした言葉をいただけると、この3年あまりの苦労が吹き飛ぶようなうれしさでした。それに「まだまだこの技術は発展できる」と手応えも感じていますので、今後は「触れる」「感じる」といった部分を体感できるような発展した製品を作りたいです。
私たちが開発した装置で生み出された振動が、遠く離れた人や物に伝わることで、人々の喜びに繋がればうれしいです。これからも新しい価値を生み出すために挑戦を続けます。

COOPERATOR

飛鳥川 孝史

技術本部副本部長 兼 第6技術部長

新しい価値を生み出し、
その価値を感じてもらえる製品を届ける

今後は私たちの生活にも普及しつつある遠隔コミュニケーションや仮想空間と現実を繋ぐインターフェースとして、こうしたデバイスが振動を通じ「触る」「感じる」といった新しい付加価値を生み出せればよいと考えています。そのためにも、これからの新しい製品がよりお客様に価値を感じていただけるよう、挑戦を続けます。