VOICES 05

社員たちの取り組みを 後押しする制度FIPが 生み出すのは「挑戦する文化

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BACKGROUND

フォスター電機を取り巻く事業環境は現在大きな変革期を迎えています。
成長を続ける為に受け身の姿勢から積極的な提案姿勢への転換が求められる中、
2020年に開始された制度「FIP (FOSTER Incubation Program)」は、
社員たちの新しい取り組みへの挑戦を支援し、ワクワクする未来社会を自分たちで創造することに繋がる、
チャレンジする社内風土の醸成を目的としています。今回はFIP運営関係者が制度に込めた想いや成果、今後の展望に迫ります。

  • ATSUSHI NARIKAWA

    成川 敦

    代表取締役社長CEO
     

    2015年からフォスター電機顧問を務め、専務取締役社長補佐を経て2020年6月から代表取締役社長に就任。

  • YOHEI TOMITA

    冨田 洋平

    営業本部 本部付次長主査
     

    FIP発足時は経営企画室企画課の課長として事務局の立場からFIPに携わり、運営体制の構築や企画のサポートなどを担当。

  • MAIKA HAYASHI

    林 舞香

    営業本部 マーケティング部
    マーケティング課 主任

    開発系出身のマーケティング担当として新規企画のアドバイスなどを通じFIPの活動を支える。

  • ※インタビュー社員の所属、役職は撮影当時のものです

社員たちが潜在的な能力を発揮して、
現状を変える起爆剤に

冨田

フォスター電機では、社員たちの新しい取り組みへのチャレンジを支援する制度「FIP(FOSTER Incubation Program)」が2020年にスタートしました。この制度は、新規事業から社内のコミュニケーション活性化アイデアまで、さまざまな企画を社員から募り、審査を経て合格した企画に最大1億円の投資枠を設け、実現を後押しするものです。

成川

制度導入のきっかけは「現状では、社員が潜在的な能力を十分に発揮していない」と感じたためです。なぜ社員の潜在能力が必要かというと、現在フォスター電機の中心的な事業である車載オーディオに関連する市場は、「100年に一度」とも呼ばれる大きな変革期を迎えています。IT企業の進出や技術の進化など、さまざまな変化の中でフォスター電機が成長し続けるためには、社員たちが現状を打破する起爆剤となるようなアイデアや事業を考えて、積極的に挑戦する風土が必要でした。

成川

さらに、フォスター電機そのものにしても、従来と同じ「依頼された製品を中心としたものづくり企業」という受け身の姿勢では、変革期に対応できません。これからはメーカなどに対し、逆にフォスター電機からの提案が求められます。

冨田

この制度により、自分が実現したいアイデアに本業と並行しながら挑戦できる環境を整えることで、社員たちが本来持っている個性を引き出す。これにより、フォスター電機の力で新たな価値を生み出せれば、成川の話すように、メーカに近い距離でさまざまな提案のできる「戦略パートナー」への成長にも繋がります。これが導入の大きな理由です。

冨田

FIPスタート前も、社内で新たな取り組みなどを提案することは可能でした。しかし、提案をサポートする仕組みや予算、実現に必要な各部署との連携などに課題がありました。そうした課題も明確に制度化することで解消できましたし、FIPは社員たちの声をすくい上げる窓口になっています。

制度の内容を聞いて率直に「何かできるかも」と感じましたし、周囲の社員たちも期待感を持っている人が多い印象でした。冨田が言ったように元々挑戦自体はできる会社だったので、制度を受け入れやすい環境はあったのだと思います。

成功確率よりも
「ワクワクする未来社会」への
チャレンジが重要

冨田

こうして始まったFIPですが、一般的な社内での新規事業創出活動とは少し方向性が異なります。最大の特徴としては「成功確率や採算性だけで判断しない」というポイントがあります。

冨田

FIPが重要視するのはフォスター電機の「未来社会に音で貢献する」という理念に合致する内容に加えて「チャレンジ」「ワクワク」という要素です。これは社員たちが「ワクワクする未来社会」の創造へ向けて「チャレンジする風土」を醸成するためであり、先ほど成川が語った想いにも繋がっています。

冨田

応募方法は企画書1枚を事務局に提出し、ブラッシュアップを経て審査員にプレゼンという流れです。選考はなるべくオープンに進めたいという方向から、プレゼン映像や審査結果は社内に公開されます。2020年から始まった第1期には50件以上の応募があり9件が合格となりました。一定の結果を出して目標を達成したものや、現在も進行中のものがあり、着実な成果を積み重ねています。

FIPにはさまざまなアイデアが寄せられましたが、中でも印象に残っているのはマーケティング部がFIPで取り組んだ企画である「xfoster(クロスフォスター)」をきっかけに生まれた「オトノワ」という製品です。これは「水を振動させて音を可視化する」というもので、製品化に向けてプロジェクトが進んでいます。

若手中心の企画や各部署との
横断的なプロジェクトが生まれ
社内が活性化

社内には、FIPによってさまざまな好影響がありました。横断的なコミュニケーションが生まれ、異なる部署の社員同士がFIPのプロジェクトを通じて協力し、年齢や役職に関係なく応募がありました。若手社員同士のチームも生まれるなど、社内の交流が活性化しています。

冨田

交流が増えた一方で、事務局としては改善点も感じています。本業との両立支援や各部署との連携サポートについては今後も強化したいです。

成川

多くの応募があり、社員たちの熱量を感じています。しかし、制度としてはまだ始まったばかりで、今後は社員たちの自立性が大切になります。私たち経営陣が「FIPへもっと積極的に応募するように」と誘導するのではなく、一人ひとりが自分で考えて動くことでこの制度が続いてくれればよいと思います。

1回だけのイベントで終わらせず
制度として社内に浸透させる

成川

最初に伝えたように、フォスター電機は現在のOEMやODMを中心としたものづくり企業から、取引先と密接に連携して製品を開発できる「戦略パートナー」に。そして将来は「音響ソリューションのスペシャリスト」として、さまざまな価値を提供できる存在に成長することを目指しています。その未来へ向かって進むためには、社員一人ひとりの個性や高い自立性、誰もがチャレンジできる風土が必要であり、同時に社員たちが「仕事を楽しめること」が大事だと思っています。FIPでも掲げているように楽しむこと、つまり「ワクワク」はフォスター電機にとって重要なキーワードです。「職務に真剣で忠実」であることは素晴らしいですが、それだけでは閉塞感が生まれる原因にもなります。仕事を長く続けるには楽しむことが大切。FIPで自分が楽しいと思えることに挑戦する社員が増えれば、組織としての長期的な成長にも繋がります。

冨田

現在FIPは第2期のアイデア募集がスタートしています。第1期では会社全体が盛り上がりましたが、1回だけのイベントのような盛り上がり方では制度として根付くのは難しいと思います。FIPを単なるイベントで終わらせず「社員がアイデアの発信を継続できる環境と、挑戦できる文化」として社内に整備することが重要なので、これから制度をどう発展させるか検討したいです。